2023.05.15
【報告】東松島高校演劇ワークショップレポート
PLAY ART!せんだいは2023年度、東松島高校で7回の授業を演劇ワークショップとして担当することになりました。4月から始まった授業は2回が終了しています。ワークショップの様子をレポートでお伝えします。
【実施先】宮城県東松島高校 10名〜20名
【開催時期】 2023/4-5
【ファシリテーター】大河原準介
【サブファシリテーター】芝原弘
【コーディネーター】及川多香子
このプログラムはRISTEX(社会技術研究開発センター)が進めるSDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラムの一環で行っているものです。東北大学大学院医学系研究科教授虫明元先生が主体となり、当団体が協力団体として関わっています。事業タイトルは「演劇的手法を用いた共感性あるコミュニティの醸成による孤立・孤独防止事業」となっており、具体的に当団体は演劇的手法を用いたコミュニケーションワークショップを行い、研究過程の中でアートの視点からアドバイスや提案を行っています。
東松島高校は数年前から演劇に取り組んでおり、コロナ前は夏の特別授業として舞台公演を毎年行うほど、演劇に親しんできたそうです。
しかし、コロナによりその活動も3年ほどお休みしていたそう。今年ようやく本格始動となり、当団体にもお声がけ頂きました。
東松島高校でのワークショップ実施は2種類あります。「ひがまつ座」という自由選択の授業と「自己表現A」という単位が取得できる授業です。4月の授業は「ひがまつ座」でした。自由に選択できる時間でしたが10名の生徒さんが参加してくれました。
アイスブレイクは名前を呼び合うワークや、チームに分かれて戦う鬼ごっこなど。はじめは緊張ぎみの生徒さんが多かったのですが、身体を動かすうちに少しずつ、声にハリが出てきたり、友達の名前を呼ぶ声が大きくなってきました。
メインワークは繰り返しできる単純な動きをつなげて、身体だけで「機械」のような全体の動きを作るというもの。ファシリテーターは「永久機関」と呼んでいました。このワークについてファシリテーターの大河原準介さんからは「このワークは1人ではできません、相手の動きや自分以外の人の動きをよくみて、それに対応するように自分の動きを決めていきます。周囲の人がいるからできること、その楽しさを少しでも感じてくれたら嬉しいです」とコメントしていました。
平田オリザさんの「どう学ぶかではなく、誰と学ぶか」という言葉が頭によぎりました。演劇教育のワークショップはグループワークを通して、グループ内で自分の役割を見つけたり、フォローに回ったり、1人の課題解決力ではなく、チームでの課題解決力を育むためのプロセスが多いことが特徴です。
孤立孤独防止の研究対象の事業として、ワークショップ内でのグループワークはとても重要なワークに位置付けられていると感じました。
5月の授業は「自己表現A」のクラスでこちらは単位認定される授業ということで参加人数も倍の20名となりました。名前を1人1人呼び合うワークや、3つのボールを投げ合いながら特定のテーマについての言葉も飛ばすワークなどのアイスブレイクの後、トランプを使ったワークがメインとなりました。
これは以前仙台一高でも行ったワークでしたが、数字の大きさによってテーマに沿って自分が想像するものを決めるというもの。のワークでは、自分が想像する物の大きさと周囲の人が想像する大きさが同じものでも違うことに気がつきます。みんなものさしが違う、ということ。同じだと思っていたことでも、本当は色々なズレがあるということ。だから、言葉は表現を駆使して、伝えようとする力が必要ということを、ワークの終わりにお話ししました。
人とは最初からこんなに違う、そのスタートに立てた生徒たちと、来月はどんなワークができるのか、とても楽しみです。(及川多香子)