2022.12.16

【報告】伊勢物語アレンジチャレンジ!古文で演劇ワークショップ@仙台向山高校

【実施先】仙台向山高等学校 1年生 生徒30名
【科目】言語文化 古文
【ファシリテーター】大河原準介
【コーディネーター】及川多香子

このプログラムはRISTEX(社会技術研究開発センター)が進めるSDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラムの一環で行っているものです。東北大学大学院医学系研究科教授虫明元先生が主体となり、当団体が協力団体として関わっています。事業タイトルは「演劇的手法を用いた共感性あるコミュニティの醸成による孤立・孤独防止事業」となっており、具体的に当団体は演劇的手法を用いたコミュニケーションワークショップを行い、研究過程の中でアートの視点からアドバイスや提案を行っています。

仙台向山高校の生徒さんと、古文を題材に演劇ワークショップを行なってきました。
1回きりの実施でしたが、古文を使ったワークショップはPLAY ART!せんだいとしても初めての試みでしたので、色々と学びの多い機会となりました。

今回は古文の中から「伊勢物語」を題材にしたいとリクエストがありました。伊勢物語といえば歌人在原業平と目される人物の一代記の形をとった、平安時代前期の歌物語です。今回は物語の中でも「芥川」にフォーカスし、好きなシーンを現代版にアレンジしてグループで演じる、というメインワークを中心とした構成になりました。

緊張や不安をほぐすためのアイスブレイクでは、「世界最速あっち向いてホイ」を行いました。3回連続で勝ったら抜けていくというもの。寒い教室で朝の2時間目の実施だったので、身体を動かし、なるべく多くの生徒と関わり合うゲームを行いました。

「仲間探しワーク」でグループを作った後は、いよいよグループ創作です。言葉や想像を身体に起こしていくステップとして、「フローズンピクチャー」のワークを用いながら、シーン創作をした後、各自が勉強した古文「伊勢物語」のノートを開き、どのシーンをアレンジするか相談しあいます。

文化祭を身体で表現
ノートを見ながら現代語訳を確認

今年の演劇教育プロジェクトでは、小学生から高校まで年齢幅の広い生徒たちとワークをしていますが、意外とグループ創作が早く進んでいくのは小学生だったりします。長くて10分ほどの創作時間と、必ずやってくる発表時間を考えると、時間をかけてアイディアを出し、意思決定していくというよりは、反射的にアイディアをだしまずやってみて積み上げていく、という方法の方がうまくいく場合があります。しかし、社会的な他人との関係づくりや、大人としての遠慮などを身につけてくると、反射的にアイディアを出したり、まずやってみて、というスピード感になかなか慣れない場合が多いようです。

向山高校の生徒たちは、はじめは静かな話し合いが続きましたが、ファシリテーターの声がけもあり、まずは動いて作っていくという方法を試していました。

最後の発表では、女が草の上に座って、降りていた露を「あれはなんですか?」と聞く場面、男が連れてきた女を一口で食ってしまう場面、女が食べれれて男が地団駄を踏みながら泣く、という場面を抜き出し、それぞれを現代の身近なシーンに置き換えて演じる姿がありました。

中には「足ずり=地団駄を踏む」のシーンを、グループ全員が赤ちゃんになって、プリンを他の人に食べられてしまい、地団駄を踏むという設定で演じたグループがありました。

振り返りでは担当の先生から、「冒頭のアイスブレイクでは、クラスのエネルギーが温まるような雰囲気づくりがされていてその後のワークにスムーズに繋がっていた」「発表ではプロにコメントしてもらい、褒められてたという経験がよかった」などのコメントを頂きました。

これまで小学生の国語を題材にする機会が多かったのですが、古文や歴史など、時代を超えた題材の学びを深めるために、演劇的な手法は様々なバリエーションができそうだなと感じました。(及川)