2022.09.02

PLAY ART!せんだい通信<箱のなか、箱のそと> vol.13


● レポート「50歳から輝くステージダンスワークショップ」
● コラム「生むこと/生まれていること

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【レポート公開中】

50歳から輝くステージダンスワークショップ、開催しました!

8月10日・11日の2日間、英国・スコットランドを拠点に活動するダンサー・振付家の小林あやさんを仙台に招聘し、ダンスワークショップを開催しました。
 参加者は50歳以上の市民の皆さん。PLAY ART!せんだいが2019年度から取り組む、50歳以上の人たちとの創作活動シリーズの一環です。

 初めて出会った皆さんと、相手のからだ、自分のからだを味わい、動きました。最後は皆の動きが美しいダンス作品のようにも見えて!
 大切な自分のからだについて、気づく機会にもなりました。からだを動かすことは、気持ちがよいものです。
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【レポート公開中】
コミュニティダンス・ファシリテーター(指導者)向け実践講座

多様な人との多様なダンスを可能にするダンスジャンル「コミュニティダンス」が、近年日本でも注目されています。赤ちゃんから高齢者まで、年齢や障害、国籍など問わず、すべての人が、自分だけのからだで表現したり、創造したり、コミュニケートしたり、心身を整えたり…。決められた振り付けで踊るのではなく、アーティスト/ファシリテーターが、参加者の個性を活かし創造性を引き出し、共に表現を創っていきます。

コミュニティダンスが盛んな英国・スコットランドを拠点に活動する、小林あやさんを講師に、8月10日・11日の2日間、ファシリテーター向けのワークショップを開催しました。

2日間の講座を終えて、コミュニティダンス活動やファシリテーターについて、またぐっと理解が深まったように思います。コミュニティダンスの参加者が表現したいこと、各人の欲求を引き出していく一方で、ファシリテーターは、アーティストとして表現したいことを深化させていく。そしてそれらを絶妙にマッチさせ、活動や作品を創っていくこと。あらためて整理することができました。
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箱そとコラム vol.9
『生むこと/生まれていること』

箱のそとがわの誰かによる、
なかがわへ向けたコラム、箱そとコラム。
第9回のテーマは、川上未映子さんの小説『夏物語』を読んで、
考えた「生むこと/生まれていること」

川上未映子『夏物語』を読んでから、やる気がめっぽうない。夏疲れ、ならぬ、夏物語疲れ。(あまりうまくはないか。)

 『夏物語』は、AID(非配偶者間人工授精)を主軸に置きながら、生命倫理を問うてくる。パートナーはいないが、子どもを望む主人公・夏子。「精子提供」で生まれ、本当の父を探す逢沢。逢沢の恋人であり、同じように精子提供で生まれ、生を恨み続けて生きる善百合子。彼女は出産を、親たちの「身勝手な賭け」だと言います。この世界が生まれてくるべき、素晴らしい世界であることを前提として。「どうしてこんな暴力的なことを、みんな笑顔でつづけることができるんだろう」。苦痛に満ちた切実な問いかけに、夏子の心は揺らいでいく。

 夏子が結果どんな選択をするのかは、ぜひ読んでいただきたいのですが、夏子の心が揺らぐとき、わたしの心も同時に揺らぎに揺らいでおりました。
 わたしには「本をつくる」という目指す行為があるのですが、それはまさに未来に今をつなぐ行為。本をつくりたいと思うとき、つまり、未来へ何かを残そうと思うとき、いつも考えていました。「みんなどうせ死ぬのに、地球もなくなることが決まっているのに、どうして未来を何かに託すのだろう」と。その問いは、夏物語の言う「どうして子どもを生むのか/どうして(誰が何をしたことで)自分は生きているのか」にそのまま溶け込み、読者であるわたしへの、強烈なパンチとなるのでした。(そして、ひどく疲れたのでした。)

 「みんなどうせ死ぬのに」「生まれてこなければよかった」という気持ちは、弱い人間の不平不満として捉えられることもありそうなものですが、切実にもう少し考えてもいい気持ちではないかなあと個人的には思います。
 こういう気持ちになるときには、かならず「生には意味がある」「生きることは素晴らしい」「幸せになろう」という前提があるように見える。でもその前提が、苦しい時もありますね。生きることには意味がないかもしれないし、素晴らしいことでもないかもしれない。幸せってそもそもよくわからない。本を残すことも、子どもを残すことも、意味があることなのか、ないのか。そもそも意味という言葉で語れる話ではないのか。しかし、そういう話ではなくとも、考えてしまう。意味がなくとも(わからなくとも)それをなあなあにしないと、生活ができない。そうやってわたしは、生きていくのだと思う。今のところ。

 「生命倫理」だなんだというと、話しづらい、重いテーマのようにも思えますが、わたしはもう少し軽く笑いながら話したっていいと思っています。いっしょに話したいので、よろしければ、気軽にお返事をください。

(文・写真:熊谷麻那)


PASメンバーが気になるニュースをお届け。

■ すんぷちょ主催「フラットシアターフェスティバス」まもなく!
 及川が代表を務める、アートワークショップ団体すんぷちょが主催する、フラット(♭)シアターフェスティバルの第1回が、9月17日(土)18日(日)の二日間で、開催です。「劇場で舞台芸術を体験する際のあらゆるハードルを取り除き、観客と劇場をフラットに繋ぐ」という願いを込めて、今年新たに生まれました。障害や年齢の違いを問わず、あらゆる子どもを対象とし、様々な表現を楽しめる2日間です。宮城野区文化センター・宮城野区中央市民センターにて。
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■ 文化部活動の地域移行検討が、文化庁にて始まっています。
 少子化に伴う廃部や部員減少、ニーズの多様化による指導者不足が広がる昨今において、文化部活動の地域移行の検討が始まっています。子どもたちが身近な地域で質の高い多様な文化芸術活動の機会を確保できるよう、地域にある文化施設や文化芸術団体等が関わっていく仕組み。2023年より学校での休日の部活動が廃止され、段階的に地域活動で移行していきます。検討会議の最終報告書には、関係各所へのアンケート調査結果や、先行事例について詳しく述べられています。要チェックです。
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■ 仙台・定禅寺ストリートジャズフェスティバル、規模縮小で開催!
 仙台の秋・音楽の祭典、定禅寺ストリートジャズフェスティバルが、三年ぶりに開催!今年のテーマは「Smile」。演奏する人にも聴く人にも笑顔になってほしい。お祭りを作る我々も笑顔で楽しみたい、という思いが込められているそうです。規模は縮小されますが、木漏れ日のなか、音楽を楽しみたいですね。タイムテーブルも要チェック!
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